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事業のご紹介

ご挨拶

教授 荒木栄一

熊本大学大学院生命科学研究部 代謝内科学分野

教授 荒木栄一


 去る2011年3月11日に発生した東日本大震災により各地に甚大な被害がもたらされ、未曾有の被害状況となっております。災害でお亡くなりになられた皆様のご冥福を心からお祈り致します。また被災された多くの皆様には謹んでお見舞い申し上げます。各方面からの支援活動が開始されているとはいえ、被災地における糖尿病をはじめとする慢性疾患をお持ちの皆様の医療不足や健康不安も大きく報道されております。熊本大学医学部附属病院におきましても、災害医療支援チームを派遣しております。1日も早い復興と被災された皆様に笑顔が戻りますよう、心からお祈り申し上げます。

 さて、糖尿病は現在、日本人の約7%、890万人が罹患する国民病であり、糖尿病やその合併症である糖尿病網膜症、腎症、神経障害、心筋梗塞、脳血管障害は患者さんの生活の質を大きく損なうのみならず、医療経済の上からも大きな問題となっています。このような糖尿病患者の急増の原因として、生活習慣の急速な欧米化による運動不足や脂質摂取量の増加が深く関与しています。
 熊本県においても、平成18年度の県民健康栄養調査では糖尿病推定患者数は14.1万人(県民の9.6%)、予備群を含めると37.9万人(県民の25.8%)であり、全国の傾向と同様、糖尿病患者数の著しい増加を認めています。
 このような状況を踏まえ、平成17年に熊本においても「熊本県糖尿病対策推進会議」が設置され、様々な糖尿病対策が進められております。また、熊本県は糖尿病の発症予防と重症化阻止、糖尿病合併症の発症進展阻止を達成するため、多機関・多職種の連携による切れ目のない保健医療サービスを県民に提供できるよう体制の整備を開始しました(熊本県糖尿病予防総合対策事業)。具体的には、『保健と医療の連携』、『かかりつけ医』と『糖尿病専門医』との連携、『医師』と『コメディカル』との連携を促進しています。この取り組みにより、健診で異常が指摘された住民が適切な医療機関を受診することが可能となり、重症化してしまった糖尿病患者や管理の難しい糖尿病患者の『かかりつけ医』から『糖尿病専門医』へのスムーズな受け渡しが促進されるのです。熊本県における、このような糖尿病診療体制の強化・充実のためには、日本糖尿病学会が認定する『糖尿病専門医』や日本糖尿病療養指導士認定機構が認定する『糖尿病療養指導士』が重要な役割を担う必要がありますが、患者数の増加に比してこれらの数はまだ十分とは言えません。

 『糖尿病医療スタッフ養成支援事業』(以下、本事業と省略します)は、このように糖尿病診療の中心となる『糖尿病専門医』や『糖尿病療養指導士』の養成を支援し、熊本県内の糖尿病医療スタッフの数的・質的充実を目指して平成22年度に開始された事業です。本事業と、平成21年度から開始された『糖尿病予防総合対策事業』(上述)とが組み合わさることで、人材育成と保健医療連携体制整備が効果的に促進されると考えられます。本事業の取り組みの1つとして、本ホームページ『熊本県糖尿病医療スタッフ養成支援事業』を開設しました。

 糖尿病に関連する臨床研究や基礎研究の進展は目覚ましく、熊本県内でも数多くの研究会や勉強会が様々な医療圏域で開催されています。本ホームページでは、糖尿病について学習しようと考えている医療関係者・研究者・医療保険者・市町村の保健衛生行政担当者・学生の方々に、熊本県内で開催される研究会・勉強会を検索して、学習の質と量を確保して頂くため、県内の『糖尿病に関連する研究会・勉強会情報』のページを作成しました。
 また、本ホームページでは『市町村が実施している糖尿病・メタボリックシンドローム対策事業』を紹介するページを設け、糖尿病医療スタッフが生活習慣改善指導を必要とする住民に当該地域で利用可能な保健サービス(栄養指導や運動療法教室など)を紹介できるようにしました。
 その他、『糖尿病関連の学会』、『糖尿病の啓発活動』、『受験者向け情報』、糖尿病診療の必要書式(専門医宛紹介状、および逆紹介状の書式)や糖尿病啓発用チラシを手軽に入手するための『ダウンロード』のページを設けて、熊本県で推進されている糖尿病診療体制に即した糖尿病診療を学習・実践できるよう配慮いたしました。

 糖尿病の発症予防・重症化阻止・合併症進展阻止のために必要な医療スタッフの連携、切れ目のない保健医療サービス、上質な糖尿病診療の提供、住民および患者教育を実践する際に、このホームページをご利用頂ければ幸いと存じます。また、このホームページが、糖尿病医療スタッフの皆様や糖尿病専門医・糖尿病療養指導士をめざす皆様にとって糖尿病の学習や保健医療連携の一つのツールとして機能するよう、ご活用をお願い申し上げます。